プラトン(紀元前427頃~紀元前347頃)
プラトンはアテナイの生まれで、ソクラテスの弟子となり哲学を学びました。アリストテレスの師でもあります。プラトンはイタリア、シチリアを訪れ、ピタゴラス学派から知識を学んだといわれています。
プラトンは師であるソクラテスの哲学を基にして、古代ギリシアの伝統的な徳とは何かについて考えました。後には目に見える「現実の世界」と、そのもとになる真実の世界「イデア界」に分けるというイデア論を述べました。
■アカデメイア
プラトンは紀元前387年に、アテナイの郊外にアカデメイアという学校を設立しました。アカデメイアでは哲学、政治学、天文学、生物学、数学等の様々な学問が教えられましたが、そこでは対話が重んじられ、教師と生徒の問答によって教育が行われたといわれます。アリストテレスもこのアカデメイアに入学し、プラトンの弟子となりました。
アカデメイアの門には「幾何学を知らざるものは、この門をくぐるべからず」という文言が掲げられていたといわれています。
■プラトン数
プラトンは「国家論」の中で、「12960000」という数について「西洋における聖なる数である」と述べています。216に60000をかけると12960000になりますが、この216という数については以下のように色々な解釈がされています。
・3、4、5(宇宙の要素を現すとされていた数)を用いて「3^3+4^3+5^3=216」と表される
・結婚数と呼ばれていた6(男性数3、女性数2)を用いて「6^3=216」と表される
・調和数35と結婚数6を用いて「35×6+6=216」と表される
■プラトンのラムダ
プラトンの著書「ティマイオス」には「プラトンのラムダ」という数が出てきます。一番上に1、左下方には2の倍数(2、4、8……)、右下方には3の倍数(3、9、27……)と配置していき、三角形を作ります。「ラムダ」というのはギリシャ文字の「Λ」(λ)のことで、この形のような三角形ができあがります。
1
2 3
4 9
8 27
またこの間にある数についても、「左下方には2の倍数」「右下方には3の倍数」という規則にしたがって埋めていくこともできます。
1
2 3
4 6 9
8 12 18 27
これらの三角形は、規則を崩さずにいくらでも下方に伸ばしていくことができるのです。
■プラトン立体
「全ての面が同一の正多角形で構成されていて、なおかつ全ての頂点において接する面の数が等しい凸多面体」を「正多面体といいます。
正多面体には正四面体、正六面体、正八面体、正十二面体、正二十面体の5種類がありますが、これらについて研究をしたプラトンの名にちなんで「プラトン立体」と呼ばれています。
ピタゴラス学派はこの5種類の立体を「火は正四面体、空気は正八面体、水は正二十面体、土は正六面体の要素から成り、創造者は宇宙全体を正十二面体に考えた」と考えましたが、プラトンはその著書「ティマイオス」にこのピタゴラス学派の説を記しました。
★プラトンに関する雑学
・プラトンの本名
プラトンは祖父の名前にちなんでアリストクレスと名づけられましたが、立派な体格をしていて肩幅も広かったために、「大きい」という意味を持つ「プラトン」と呼ばれるようになり、以降その名で通るようになりました。
・月のクレーター
月の表側、雨の海の北東の沿岸に位置するクレーターは、プラトンにちなんで命名されたものがあります。
・「アテナイの学童」
ルネサンス期にイタリアの画家ラファエロ・サンティが描いた有名な絵画に、「アテナイの学堂」というものがあります。この絵には有名な古代ギリシアの哲学者たちが描かれていて、絵の中央の二人の人物のうち左側がプラトンであることが分かっています。プラトンが手に持っているのは、プラトンの著書「ティマイオス」です。
この絵に描かれている人物はラファエロと同時代の人物がモデルとなっていて、プラトンのモデルはレオナルド・ダ・ヴィンチであるとされています。
またプラトンと並んで階段を下りているのはアリストテレスで、「プラトンの哲学は中傷的であったので天を指さし、アリストテレスの哲学は現実的であったので地を指さしている」とする説があります。