ジョン・ネイピア(1550年~1617年)
ジョン・ネイピアはスコットランドの数学者、物理学者、天文学者、占星術師です。
対数の発見で知られています。
■対数の発見
16世紀の天文学者達は、星の位置を計測するために何十桁もある数値の計算を行っていました。また当時の船乗り達は星の位置を元に船の現在地や進行方向を計算していたのですが、桁数が非常に多い数値を計算しないといけないため間違いやすく、航海の安全に悪影響をもたらす原因の一つとなっていました。
これらの事情を知ったネイピアは、桁数の多い掛け算を足し算に置き換える方法として対数を考え出したのです。ネイピアは20年という長い歳月をかけて対数の表を作成し、1614年に7桁の数の対数表を発表しました。
しかしネイピアの対数は複雑だったため、当初は理解されませんでした。そこへイングランドの数学者ヘンリー・ブリッグスがネイピアの元を訪れます。二人は対数に関する議論を重ね改良していき、ブリッグスは10を底とすることを提案し、これが常用対数となります。
ブリッグスは常用対数の表を作成することをネイピアと約束し、表を完成させますが、その時にはネイピアは既に亡くなっていました。
この対数の発明により計算が簡易になり精度も高くなったため、大航海時代の長い航海をより安全に行えるようになりました。更に後の時代のフランスの数学者ピエール=シモン・ラプラスからは、「対数は天文学者の寿命を2倍にした」と讃えられました。
★ジョン・ネイピアに関する雑学
対数の概念は、ネイピアよりも前にイタリアの数学者ミハイル・シュティーフェルが著書「完全算術」の中で記述していました。ただしシュティーフェルは対数について研究を進めることはなかったので、対数の発見者はネイピアであるとされるようになりました。
ネイピアはシュティーフェルが考えた対数の概念については知らなかったとされていて、二人は全く独立して対数を発見したといわれています。