2012年3月5日月曜日

シピオーネ・ダル・フェロ

シピオーネ・ダル・フェロ(1465年~1526年)

シピオーネ・ダル・フェロはイタリア・ボローニャ生まれの数学者です。ダル・フェロはボローニャ大学の数学科長の一人となり、同大学で教鞭をとりました。
特殊な形をした3次方程式の解法の発見者として知られています。


■三次方程式の解についての研究

当時の数学者達の間では3次方程式の解法の発見が大きな課題でしたが、ダル・フェロは ax^3+bx = c という形の3次方程式の解を導きました。
これは一般的な形の3次方程式(ax^3+bx^2+cx+d = 0)の解法ではありませんでしたが、一般の三次方程式はこの形に変形できます。したがって、三次方程式の解法を発見したのはダル・フェロであるといってもよいでしょう。
ダル・フェロはこの解法を世間に公表せず弟子にのみ明かしましたが、この解法は後の発見へと繋がっていくことになります。


★シピオーネ・ダル・フェロに関する雑学

・数学試合

特殊な形の3次方程式の解法を得たにもかかわらず、ダル・フェロはこれを公表しませんでした。
当時のボローニャでは公開の場での討論や論争が頻繁に行われており、数学についても「互いにいくつかの問題を出し合って、どちらが多く解けるかを競う」という試合」が行われていました。このような試合に勝つことは、学者や知識人が富や名声を得る手段となっていたのです。
試合に勝つには自分の手の内は明かさない方が有利になるため、ダル・フェロに限らず当時の数学者達の間では自分が発見した知識を公表しないのは、特に珍しいことではありませんでした。

ダル・フェロが3次方程式の解法を公表することはなかったのですが、義理の息子のアンニバーレ・デラ・ナーヴェと、弟子のアントニオ・マリア・フィオル(ラテン名フロリドス)には解法を明かしています。またダル・フェロは解法を詳しく書き記し、その手記は彼の死後、義理の息子の手に渡りました。
ダル・フェロから3次方程式の解法を伝えられたフィオルは、数学者ニコロ・タルターリアとの数学試合に臨みますが、タルターリアはax^3+bx^2=cという形の3次方程式の解法も得ていたため、試合には負けてしまいました。

・ダル・フェロのアパート

ダル・フェロが暮らしたボローニャのアパートの壁には、ダル・フェロの生家であることが刻まれたプレートが壁に飾られているそうです。