アナクシマンドロスについては資料がほとんどありません。天体の運動や気象等の自然現象についての本を記したとされていますが、これらも現在には残されていないのです。
アナクシマンドロスはミレトスに住んでいたようで、タレス、アナクシメネスと共に「ミレトス学派」に分類されています。タレスとともに「最初の哲学者」とされることもが多いようです。初めて天球儀を作った人物としても有名です。
■「万物の根源(アルケー)」とは何か
アナクシマンドロスもタレス同様に万物の根源は何であるかについて考えましたが、「万物の根源」という概念を「アルケー」という言葉で表したのがアナクシマンドロスであるとされています。一説ではアナクシマンドロスはタレスの弟子であるとされているのですが、確かな資料は残っていません。
タレスはアルケーを水であるとしましたが、アナクシマンドロスは万物の根源は「無限なるもの」であると考えました。その理由は次のようなものが挙げられます。
・水は世界にたくさんあるとはいえ限りのあるもの、水のように有限なものが万物の根源であるとは考えられない
・水がアルケーであるならば、水からその反対の性質を持つ火が生成されるのはおかしい
・万物の根源は、この世界に目に見える形で存在するような特定のものであるはずがない
更には「水と火」のように、有限なものにはそれと相対する関係にあるものが必ず存在すると考えました。そのような相反する両者をアルケーは生み出さなければならず、ならばアルケーは「ものが相反する状態になる以前の状態」、「対称性を超えるもの」でないといけないと考えたのです。この考えが「アルケーは無限なるもの」という結論に繋がりました。
■「無限」という抽象性
タレスがアルケーであるとした「水」は元から自然界に存在し目にも見えるものでしたが、アナクシマンドロスがアルケーであるとした「無限のもの」は、抽象的な概念であるところが画期的でした。
この「抽象的なもの」を考察の対象にするということは、数学においても重要な要素となっていきます。
★経歴
生没年:紀元前610年頃~紀元前546年
生まれ:ミレトス(現在のトルコ西岸)
更新履歴
2020/11/17 経歴追加
2012/01/25 記事投稿